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伝統的な仕口・組手と継ぎ手について

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「仕口」って言われても、聞きなれない人も多いかと思いますが、簡単に言うと釘やビスを使わずに木をつなげる、木を組んだりすることを言います。

普段馴染みはありませんが、一般の木造住宅などの柱や梁などを繋ぎ合わせるのに使われています。

家が出来上がってしまってからでは目にすることは出来ませんが、しっかりとした骨組みを作るために必要とされています。

また、家具などにもそういった技術が今でも使われています。

伝統的な家具の桐箪笥には、仕口の技術が沢山使われています。

昔の職人さんの技術には驚かされることばかりです。

代表的な継ぎ手を紹介したいと思います。

※画像では、組んだ時の木目が正しい使い方になっていない場合があります。あくまで組手の説明なので木目の向きは参考にしないで下さい。

組手

組手

画像のように木と木を組み合わせる継ぎ手を組手と言い、何個組んでいるかで言い方が変わってきます。

組手

上記画像に番号を割り振ってみました。

数えると7個あります。

ですので、これは「七枚組み手」ということになります。

この組手を細かく均等にすると「あられ組」という言い方をします。

桐のこめびつなどによく使われています。

桐箪笥の引き出しなどは「三枚組手」になってることが多いです。

同じく桐箪笥の側板と天板は「五枚組手」が多いです。

 

蟻組(ありぐみ)

蟻組

最初の組手と似ていますが、形状が少し違います。

ホゾの部分の形が台形になっています。

画像の向きであれば、上下に引っ張っても抜けません。

数が多ければ多いほど強度は高くなりますが、加工が大変になります。

接合強度も高く、複雑な組手その加工がそのままデザインの一部にもなりえます。

古い桐箪笥などではストレートな組手が多いですが、たまに蟻組の桐箪笥を見かけます。

大入れ接ぎ 追入れ接ぎ

大入れ

棚、本棚などによく使われる組手です。

 

大入れ

重さのある物を乗せる場合、横から釘やビスだけだと下にかかる力を支えきれない場合があります。

そこで、板を側板に入れることで強度が出る組手です。

板が側板の木に乗っている状態ですので板が腐るか重さに耐えられなくて割れること以外で棚が落ちることはない加工法です。

 

相欠き(あいがき)

相欠き

 

上の画像は十字に組んでいるので「十字相欠き」と読んだりします。

板を半分ずつ切り欠き組み合わせます。

相欠き

 

半分ずつ切り欠くことで組んだ後はフラットな面になります。

細い角材などを使って格子を作れたりします。

ホゾ継ぎ

ホゾ継ぎ

 

ビスや釘を使わずに木材と木材を接合します。

ホゾ

 

上の画像のようにホゾ穴(メス)にオスを叩いて入れます。

メスとオスがキッチリはめられれば強い接合が出来ます。

なんとなくやっただけで入れたらユルユルでは、よほどビス止めの方が強度が出ます。

平ホゾ(ひらほぞ) 二方胴付き、とも言う

平ホゾ

テーブルの脚周りの補強に良く使われています。

三方胴付きホゾ

三方胴付き

扉の框組や椅子の脚周りの補強に使われているような気がします。

平ホゾと何が違うかと言うと

三方胴付きの胴

欠き取った部分の胴が

三方胴付き

四方胴付きホゾ

四方胴付き

4面すべて欠き取って四方に胴がありますので、ホゾ穴とホゾを精度よく作れば強度の強い接合になります。

二枚ホゾ接ぎ

二枚ホゾ

一つのホゾより二枚ホゾの方が強度としては上になります。

強度が必要な箇所や、部材に対してホゾが狭い場合は二枚ホゾなどにすることがあります。

割り楔ホゾ接ぎ(わりくさびほぞ)

割り楔ホゾ

二方胴付きホゾの先端に切れ込みを入れておきます。

三方でも四方胴付きホゾでも同じです。

割り楔ホゾ

割り楔ホゾの場合は、ホゾ穴を貫通させる(通しホゾ)必要があります。

ホゾを差し込む前に入れておいた切れ込みに楔を打ち付けます。

楔を打つことで打った側が開くので抜けにくくなる。

こうすることで画像の状態でしたら上下の縦に強いだけでなく横の動きにも強いホゾが出来ます。

留め接ぎ(とめつぎ)

留め接ぎ

扉や額縁などを作る時に上画像のように斜め45度で板と板を接合する場合があります。

しかし、これをボンドだけで接合した場合、ちょっとした衝撃にあっただけで簡単に壊れてしまう可能性があります。

木の木口は水分を吸ってしまうのでボンドで接合しにくい場所です。留めは木口と木口を合わせる形なのでボンドだけでは強度はとても弱いです。

留めは釘やビスを打とうとしてもうまく打てない場合が多いです。

簡単に壊れないように、こうした接合をする場合は適した仕口を使います。

留め形隠し三方胴付きホゾ

留め形隠し三枚接ぎ

組んだ後は、ただの留めになりますが、上画像のような形で接合すると、とても強度の強い扉や額縁が出来ます。

桐箪笥の扉も良くこの仕口が使われています。

かんざし留め接ぎ

かんざし

額縁に良く使われる仕口だと思います。

接着剤、ボンドで板と板の角度90度やねじれなどを確認しながら留めで固定してボンドが乾いてから上画像のように外側の角を欠き取ります。

かんざし

その欠き取った部分になるべく硬い木を埋めることで強度が出ます。

 

かんざし

色味の違う木を使うことで角に二種類の色味が出るので強度も出ますしそれがそのままデザインにもなりオシャレな感じになります。

女性の髪を飾る髪飾りのことを「簪」(かんざし)と言うのですが、それがもとになった名称だと思います。

ダボ接ぎ

ダボ接ぎ

 ダボ接ぎはよく簡単に出来そうに思われがちですが、綺麗な仕上がりにするのは以外と難しいものです。

【難しい理由】

1.ダボ穴をを真っ直ぐ垂直に開けるのが難しい

2.接ぐ2枚の板を同じ位置に穴を開けるのが難しい

1の垂直に穴が開けられないとダボが曲がります、曲がったダボと相手の板の穴が合わなくなります。

2は、同じ箇所に穴を開けてるつもりが穴を開ける時にまったくズレることなく開けるのはとても難しいです。ズレてしまっては、反対の板の穴にも合わなくなります。

垂直に正確に連続で穴を開けられる機器をもってる量産型の家具によくみられます。

ダボ治具などがあれば精度よく開けることも可能だと思います。

 

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