長火鉢 お預かり時の写真
修理プラン
長火鉢をそれぞれ取れる部分を取り出してみました。
底に敷いてあった板が劣化して割れているので新材で作る。
火鉢の縁周りで、上画像のあたりが焦げたんですかね。
縁周りの修理します。
火鉢の銅板を取り除くと、底板が無い部分があります。
この底板も新しい材でお作りします。
銅が酸化すると「緑青(ろくしょう)」が発生し上画像のようになります。
衛生的になんの問題もないそうです。
緑青を落とすやり方は何個かあるのですが、どこまで落ちるかはわかりませんが、やれるところまでやってみます。
火鉢の引き出しの金具はも銅?もしくは真鍮?
緑青が出ているので銅かと思われます。
こちらも緑青を落として綺麗にしたいと思います。
修理の流れ
引き出しの金具を外す。
取り出せるものは、取り出して洗う。
底板を新しく作る。
欠けている所を補修する。
金具や、銅板の緑青を落として綺麗にする。
火鉢全体の現在の古い塗膜を剥がす。
オイルで着色の予定。着色時ご相談。
金具の取り付け。
金具の外し
火鉢は、硬い広葉樹で出来ているので、ビスも錆びていることもあり、ビス頭がダメになってしまうと取れなくなってしまうので、ゆっくり慎重に外します。
外した金具は、無くさないよう箱に入れて保管します。
金具が外し終わりました。
洗い
火鉢を洗いました。
緑青落とし
落とす前はこんな感じです。
かなり落ちました。
修理
長火鉢の表面をざっくり剥がしました。
平面を損なわないように塗膜を大体剥がすと、欠けている所や凹んでいる所は綺麗にならない箇所が現れます。
塗膜を剥がす前ですと、黒くてわからなかった箇所が浮き彫りになるので、そういった箇所を直していきます。
古くて貴重なお品ですと、何から手を付けていいのかわからないといったことになりがちですが、粗く表面を削っていくとやるべきことが明確になったりします。
最初はざっくりと、しだいに細かな所を修正してやり方です。
焦げてしまっていた火鉢の縁で、少しえぐれている箇所などを直していきます。
火鉢の上部の枠の糊が切れていて少しぐらつきがありましたので、糊を入れ締め直します。
現状のままですと糊の入りが悪いので、接合部を開いて糊を入れやすくします。
糊が切れてかすかな隙間からホコリが入り、接合ぶが汚れてしまっています。
このまま糊を入れると接着があまくなりますので、汚れなどを落とします。
ブラシが入る所はブラシで落とし、入らない所はウエスを濡らして汚れを落とします。
汚れが取れました。
この火鉢の枠は「留め形通しホゾ接ぎ」という接ぎ手が使われています。
とてもシンプルなホゾ接ぎですが、綺麗に収めるには、なかなか難しい接ぎです。
火鉢の箱部分は「蟻組」で組まれています。
赤丸で囲んだ部分の差し込みが2mm~3mmと細い蟻組で、これを「天秤差し(てんびんざし)」と言ったりします。
手間のかかる組手なのですが、見た目がとても美しいです。
火鉢の中も汚れていたので、表面を削り、機械が入らない所は手で丁寧に落とします。
耐熱と水につよいボンドを入れ圧着してます。
抽斗の割れを埋め木で直します。
古い塗膜を大体落とし終わりました。
落としきれない欠けや割れなどをこれから修理します。
火鉢の縁で焦げてしまった箇所を修理します。
上画像のように蟻型に欠き取って埋め木することで取れにくくなります。
スライドさせるように入れていきます。
入るのを確認したらボンドで止めていきます。
当て木をして圧着させます。
元の樹種が特定できませんでしたので、木の硬さや色味が似ていいるクルミの木を使用しました。
埋め木した所を削っていきます。
この鉋はRがついていて丸く削ることが出来ます。
このように丸く成形できます。
取り外した火鉢の縁周りの板を取り付けていきます。
火鉢の傷んだ底板をタモの柾目でお作りしました。
この底板は乗せてあるだけでしたので、固定はせずそのまま載せるだけにしておきます。
修理と塗膜の剥がし完了写真
この後は、着色していきます。
着色 合成うるし紅溜め
1度塗りしていきます。
ゆっくりと、でも手際よく塗っていきます。
ホコリが舞って付着しないようにして乾かします。
1日以上乾かしてから、塗り重ねます。
耐水ペーパーで表面を磨いていきます。
表面が平らになるよう磨いていきます。
この段階で真っ平にしようとすると元の木が見えてしまうので、重ね塗りをするたびに少しずつ平にしていきます。
重ねぬりしましたが、まだぶつぶつしているので、乾いたら磨いて塗り重ねます。
塗り重ねても、透明度のある赤なので木目はちゃんと見えますね。
色付けが終わりましたので、金具をつけていきます。
長火鉢の再生・完了写真
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