え!明治時代に作られた桐箪笥?
長いことこの仕事をしてきましたが、明治時代の箪笥はめずらしい部類です。
そもそも明治の箪笥かどうか?は、箪笥の裏にこうやって書かれていたから、ああ!明治のタンスなんだと認識できます。
なので何も書いてないタンスは、いつの時代の箪笥なのかはわかりません。
中には、こうやって納品日が書かれているのタンスもあります。
今も昔も桐箪笥は高級品なので納品した日を記念に書いてくれる昔の箪笥屋さんの粋なはからいだと思います。
そのおかげで、いつの時代に作られた物なのか判別できるのです。
4つの時代を生き抜いた家具
「明治」→「大正」→「昭和」→「平成」
身の回りの物でこれだけ長きに渡って使われる家具ってどれだけあるのでしょう?
もちろん中には世界最古の木造建築物などもっと古い建物が存在していますが、こういった建築物も何もせずにほったらかして現在に至るわけではありません。
宮大工と呼ばれる方たちが補修を繰り返しおこなって現在にいたります。
桐たんすも一度も修理をせずに現在も使っている人もいますが、「一度削り直しの修理に出したわ」って方も少なくないはずです。
そこまでして現在も使われる理由
- 桐箪笥として価値がある(箪笥の構造は組み手など手間を惜しみなく使っています。)
- 嫁入り道具として長きを共にしてきたので思い入れがある
- 今は亡きお母様の形見である
現在の家具でもしっかりとしたものは多くありますが、安くて、それなりに丈夫で、見栄えが良いければそれでいいなんて人もたくさんいらっしゃいます。
「いらなくなったら元が安いから気兼ねなく捨てられるし」ってちょっと寂しいですよね。
よく「桐箪笥って今の時代に合わないわ」とか「邪魔になるわ」とか言われる方も多くいます。
桐たんすの修理・再生には最近の住宅事情に合わせたリメイクすればいいだけの話なんですね。
箪笥業者さんも現在、今の時代にも合う桐箪笥の再生なども多く手がけています。
桐箪笥業界または職人さんも日々進化しているのです。
もちろんご依頼者様で、「こんな風に使いたい」とか「こんな形に変化してもらいたい」とか「こんな色にしてもらいたい」などを業者さんに相談するのもぜんぜん有りだと思います。