家具を塗装って?
お問合せで多いのが、家具の塗装などの塗り直しって出来ますか?と相談される人が多いのですが、もちろん可能です。
家具の塗装などの塗り直しはどこに頼めばいいのかわからないって人も多いはず、そういった業者をネットで探すにしても、なんて検索すればいいんだろう?って悩むと思います。「家具修理」?「家具塗り直し」?
ネットで業者検索するとそれなりに業者が出てきますが、その中で自分のこう直して欲しいにそった塗り直し業者を探すのも時間がかかるものです。
ネットは便利ですが、情報過多で結局どうすればいいのだろう?と余計に頭を悩ませます。
私の所でも家具の塗装の塗り直しをやってます。
テーブル、整理箪笥、茶箪笥、洋服ダンスなどの古くなって傷んだ塗装を剥いで塗り直して新品同様のように仕上げます。
家具の塗り直しの業者の違い
家具の塗り直しで業者によって違いが出るのが、上塗り方法だと思います。
着色は木目を活かすオイルフィニッシュ系やホームセンターなどでは売ってない顔料を調合して塗ります。
色を付けたら表面を保護する上塗りを吹き付けます。
上塗りに使用する塗料が業者によって違ってくると思われます。
私の所で使用しているのは「ウレタン塗装」と言うもので、一般的に高級家具などの塗装に使用されます。
今でもウレタン塗装はオーソドックスな塗装で、一番使われている塗装方法です。
中にはウレタンの中に顔料を直接まぜて、色付けとウレタンを同時に行う技術もあります。
最近では様々な上塗り塗装も出てきているようですが、その塗装が得意、不得意な面をもっています。
ガチガチに硬化して表面保護をするものもありますが、何十年も使っていると保護膜が割れてきたりします。
また最近ではナチュラル志向で自然塗料が好まれる傾向もありますが、まだまだ第一線の塗装だと私は思います。
ちなみに自然塗料とは植物性塗料とも呼ばれ、その塗料自体が着色、浸透して硬化、艶を出す塗料ですが、表面保護としてはウレタンと比べると弱いです。傷などがついた場合などのメンテナンスを楽しめる人でないと面倒かもしれません。
私自身はウレタン塗装以外をほとんどやったことはないので、それ以外の塗装についてはここでは触れませんが、ウレタン塗装の工程を述べたいと思います。
ウレタン塗装とは
ウレタン塗装とは、「下塗り」「中塗り」「上塗り」と呼ばれる工程を各3回ぐらい吹き付けます。
下塗りの目的(シーラー)
木には導管と呼ばれる穴が無数にあいています。
水分を全身に運ぶための人間で言う所の血管のようなものです。
その上に直接仕上げの上塗りをすると導管がの中の空気が邪魔をしてブクブクと気泡が出てきてしまったりします。
なので、下塗りを行うことによって導管を塞ぐ役目があり、下塗り後の中、上塗りのウレタン塗料の食いつきをよくする役目があります。
下塗りの作業は目止めとも呼ばれています。
中塗りの目的(サンディング)
中塗り一発目を吹くとわかるのですが、全体的にブツブツと穴があいている状態になります。
木はどんなに平に削っても木目や導管の関係でルーペなどで見るとわかるのですが、凸凹があります。
なので、中塗で塗装を肉厚にして細かいペーパー(耐水ペーパー)で磨いては吹き磨いては吹きをブツブツが平になるまで繰り返します。
中塗りをいかにしっかりやるかで仕上がり具合が決まるといっても過言ではないかと思います。
上塗りの目的
この上塗りが仕上げ吹きとなります。
サンディングまでがうまくいっていれば上塗りは綺麗にいくものです。
一度吹きをして乾いた後、手で全体を触りひっかかりがないかデコボコしている箇所がないかを確認しながら、番数の細かいペーパーでならし、2回目3回目を吹きます。
透明の保護膜の中に木目が見えるので綺麗な仕上がりになります。
無垢の家具しか塗り直しは出来ないのか?
私の所では無垢の家具の他、合板家具や突板家具の塗り直しも行っています。
これは出来る業者と出来ない業者がいるかと思います。
と言うよりは出来るかもしれないけどやりたくない業者もいるってことです。
無垢の家具ではないと言うことは、合板家具や突板家具と言うことになりますが、こういった家具は木目の部分が0.3mm程度しかなく古い塗装を剥ごうとすると、木目まで消えてしまい中のべニア素材が出てきてしまうためです。
もちろん表面すべてを張り替えてしまうのが一番簡単ですが、その分の手間と材料費がかかってしまい思いの他、修理代金がかかってしまうものです。
なので業者の見積もりとお客様の想定していた金額が合いずらいといった傾向があります。
なので、安易に仕事を受けてしまうと金額の割に手間や材料費がかかってしまうことが多いので、業者の中には線引きをして無垢の家具以外は出来ませんと言っているわけです。
合板家具や突板家具のお勧めの修理方法を次で述べたいと思います。
合板家具や突板家具のおすすめ修理方法
予算に余裕があるのでしたら、表面をすべて張り替えれば綺麗になります。
なるべく安くあげたいのであれば、傷、ヘコミ、欠けなどをパテで平にして塗装し直す修理方法をお勧めします。
もちろん状態により絶対できるわけではありませんが、そこそこの傷やへこみ欠けぐらいでしたら綺麗に仕上がると思います。
これぞ職人技!
簡単にパテで埋めて直せばと言いますが、プロならこれがどれだけ難しいか知っています。
木目を活かす仕上げの場合の色付けはペンキは使用できません。
ペンキでしたらパテの上にも色が乗りますが、木目もすべて消えてしまいます。
木目を活かすオイルフィニッシュ系や業者用の顔料で色を調合したものでは木には色が付きますが、パテにはほとんど色が乗りません。
しかし、パテを隠すために色をどんどん濃くしていくとやはり木目が消えてしまいます。
パテの上だけにペンキで塗ればいいのでは?と思いますが、私自身試したことはありますがうまく色が乗ってくれませんでした。
なので、パテに塗る塗料はそれ専用の隠ぺい力の高い特殊な塗料を使用します。
でも、色を付けただけでは仕上がった時そこだけ目立ってしまいます。なぜなら木には木目がありますので、補修した箇所だけ木目がないと目立ってしまうという訳です。
その木目や、ささいな色の変化までをパテの上に表現していくのですから、いわば芸術かも?
こういった修理も私の工房「清水桐工房」ではお受けしています。
小さな家具の塗り直しについて
小さなテーブル、小さな箪笥、小さな飾り棚、小さな椅子など「塗り直して使いたいけど、小さなものは業者は直してくれないかな?」って思われるかもしれませんが、そんなことはありません。
小物家具の直しは業者によりけりだと思いますが、少なくとも私の所ではお受けしています。
なるべくお安く塗り直しをしたいと考えますが、こちらの都合で申し訳ないのですが単価の小さい仕事は下手をすると赤字の仕事になりがちです。
なので料金をわかりやすく
- 引き取り、納品、の配送料はお客様ご負担でお願いします(小物家具であれば関東圏内で往復1万円ぐらいです)
- 品物を見て修理にかかる日数を見ます
なので品物や状態にもよりますが、3万円ぐらいから修理・塗り直しでお受けできる場合もございます。
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- 桐たんす