桐たんすの再生で大事なこと
もちろん悪い箇所は修理します。
その部分が職人さんの腕の見せ所だったりもします。
やるべきことは沢山あります。割れ、欠け、破損、引き出しの隙間、引き出しと本体の面を合わせるなどなど・・・
修理にも職人の上手い下手があるでしょう。
悪い箇所を見つけ、箪笥全体を考えてなぜこうなっているのか?常に全体を考えながら職人さんは仕事をしています。
職人は仕事を森で捉えているんです。
『木を見て森を見ず』と言うことわざがあります。部分的には正解ですが、大局で見ると間違っている、そんな感じのことわざです。
このように修理には高い技術が必要ですが、桐たんすの補修・削り直しは作業の一部でしかありません。
お化粧って大事ですよね。
私は男なのでよくわかりませんが、女性の中でも化粧のうまい人、そうでもない人っていると思うんですよね。
また体調が悪い時には、お化粧のノリが悪かったりするんじゃないでしょうか?
体調がいい時などは肌がきめ細かくなっていて化粧ノリがいいはずです。
それと同じで、桐たんすの修理は、お化粧するための下地作りなんです。
タンスの劣化した表面を修理してカンナで削れば元の傷のないきめ細かい木肌が出てきます。
要するにお肌のスキンケアをした状態です。
仕上げの色で桐たんすは決まる
どんなに修理は完璧にやりましたよ!って言われても目にした色が気にいらなければ台無しですよね。
逆に「わぁすごく綺麗」と仕上げがうっとりするぐらい綺麗になっていると他のことなどどうでもよくなってしまいそうになります。
どうでもいいってことはないですが、そもそも下地作りがちゃんとできてないと目を引くような仕上がりにもならないものです。
上の写真はトノコ色で塗って、うっすら乾き始めている所です。
塗りは、温度と湿度が一定の場所で、早すぎず遅すぎないスピードで乾かします。
そうすることで木の目が均一で、うっすらと奥行のある仕上げになります。
まとめると、いい色を出す為には、良い下地が必要なのでどちらも重要な工程ってことになります。